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糖尿病内科

糖尿病内科について

糖尿病内科は、血糖値の異常や糖代謝の問題に対して、診断・治療・生活指導を行う専門の診療科です。血糖値のコントロールが不十分な状態が続くと、目や腎臓、神経などに障害を起こし、やがて心筋梗塞や脳卒中などにつながることもあります。糖尿病は初期には症状が出にくく、気づかないうちに進行するため、早期発見と継続的な管理が重要です。糖尿病内科では、検査結果や生活習慣をもとに、食事・運動・薬の治療を組み合わせて、一人ひとりに適した治療を行います。当院では、糖尿病に詳しい医師が丁寧な診療を行い、患者様の不安や疑問にもわかりやすくお答えしています。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンというホルモンの分泌量や作用が低下することで、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に増加し、血糖値が基準値を超えて高い状態(高血糖)が続く疾患です。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事によって上昇した血糖値を一定の範囲内に調整する働きを担っています。ところが、糖尿病ではこのインスリンの分泌が不十分になったり、体内での効果が弱まったりするため、血糖値が高い状態(高血糖)が長く続くようになります。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2023年)では、糖尿病が強く疑われる人の割合が、男性でおよそ16.8%、女性で8.9%と報告されており、糖尿病は誰にとっても身近な生活習慣病のひとつであることがわかります。


糖尿病の種類・原因

糖尿病は、原因によっていくつかのタイプに分けられます。代表的なものとして「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、それぞれ発症のしくみが異なります。

1型糖尿病

1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓のβ細胞が壊れることで、インスリンがほとんど分泌されなくなり、高血糖が続く疾患です。インスリンは血糖値を調整する重要なホルモンで、分泌が不十分になると、ブドウ糖が体内に取り込まれず血糖値が高い状態が持続します。主な原因は自己免疫の異常で、体の免疫が誤ってβ細胞を攻撃してしまうことによって発症します。遺伝的な要因やウイルス感染が関係することもあると考えられています。発症は子どもや若年層に多く、喉の渇き、多尿、体重減少などの急な症状が出て、発見されることが一般的です。

1型糖尿病

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンの効きが悪くなったり分泌が不足したりすることで、血糖値が高くなる疾患です。糖尿病の約90〜95%を占めます。遺伝的な体質に加え、運動不足や過食、肥満などの生活習慣が主な原因とされています。これらが重なることで、インスリンがうまく働かなくなります。発症は中高年に多くみられますが、近年は若い世代でも増えています。初期は症状が出にくいため、健康診断で見つかることもあります。

2型糖尿病

隠れ糖尿病とは

隠れ糖尿病とは、糖尿病の状態でありながら、空腹時血糖値では異常が見つかりにくいタイプの糖代謝異常です。健康診断などで行う空腹時血糖値の検査は、前日の夕食後から絶食して測定されるため、血糖値が一時的に下がり正常範囲に見えることがあります。しかし、実際には食後に血糖が大きく上がっている場合もあり、これが「隠れ糖尿病」と呼ばれる状態です。このようなケースでは、過去1〜2ヵ月の血糖コントロールを示すHbA1cが診断の手がかりとなります。さらに必要に応じて、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、空腹時・1時間後・2時間後の血糖値を測定し、食後の血糖変動を確認します。


糖尿病に準ずる糖代謝異常

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見される軽度の糖代謝異常のことを指します。これは糖尿病と診断されるほどではないものの、血糖値が基準より高くなる状態です。主な原因は、胎盤から分泌されるホルモンによってインスリンの作用が低下し、インスリン抵抗性が高まることにあります。これにより、体内で血糖が適切に処理されにくくなり、血糖値が上昇しやすくなります。なお、妊娠中であっても血糖値が糖尿病の診断基準を明らかに超えている場合には、「妊娠糖尿病」ではなく「糖尿病」として区別され、一般的な糖尿病としての治療が行われます。

妊娠糖尿病


糖尿病の症状

糖尿病は、発症の初期段階では自覚症状がほとんど現れないこともありますが、進行すると体調や日常生活に影響するような症状が出てくることがあります。以下に示すのは、糖尿病によって現れる可能性のある代表的な症状です。これらの症状に心当たりがある方は、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。

  • 疲れやすくなる(倦怠感や易疲労感)
  • トイレが近くなる(頻尿)
  • 手足の感覚が鈍くなる(感覚の低下やしびれ)
  • 視界がぼやける(視力の低下やかすみ目)
  • 肌が乾燥しやすくなる
  • 食べてもすぐに空腹を感じる(空腹感の増加)
  • 傷が治りにくくなる(創傷治癒の遅れ)
  • 水分をよく欲しがる(口渇)
  • 急に体重が減る(原因不明の体重減少)
  • 勃起障害などの性機能の問題(EDなど)
  • 手指にチクチクするような痛みがある(末梢神経障害による痛み)
  • 便秘になりやすい
  • 下痢を繰り返すことがある(自律神経障害による消化器症状)

など


糖尿病の合併症

糖尿病は、血糖値の高い状態が長く続くことで、全身の血管や神経に障害を及ぼし、さまざまな合併症を引き起こします。これらの合併症が進行すると、視力の低下や腎臓の機能障害、手足のしびれや痛みといった症状に加え、心筋梗塞や脳梗塞など生命に関わる深刻な疾患につながることもあります。以下では、糖尿病に関連して発症しやすい代表的な合併症についてご紹介します。

三大合併症

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは、糖尿病によって引き起こされる血管障害のひとつで、高血糖の状態が長期間続くことによって目の奥にある網膜の細い血管が損傷を受けることで、視力の低下を招く疾患です。初期の段階では自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行することが多いのが特徴です。進行すると、網膜で出血(眼底出血)を起こし、最終的に失明に至ることもあります。

糖尿病腎症

血糖値の高い状態が長期間続くと、腎臓にある糸球体と呼ばれる微細な血管が徐々に損傷を受け、老廃物をろ過して尿をつくる腎機能が低下していきます。初期段階では自覚症状がほとんど見られないため、異常に気づかないまま進行することが少なくありません。進行すると腎機能が著しく悪化し、最終的には腎不全となり、人工透析が必要になるケースもあります。日本において、新たに透析を開始する原因の中で最も多いのが糖尿病腎症であり、全体の約4割を占めています(日本透析医学会より)。このため、糖尿病と診断された方は、血糖コントロールに加え、定期的に腎機能の検査を受けることが大切です。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは、慢性的な高血糖により全身の神経が損傷を受けることで起こる、糖尿病に伴う代表的な合併症のひとつです。影響を受ける神経の種類によって、症状のあらわれ方が異なります。自律神経が障害されると、立ち上がったときのふらつき(起立性低血圧)、排尿や排便がうまくできない、勃起機能の低下(ED)といった症状がみられることがあります。また、末梢神経が障害された場合には、足のしびれや冷え、足がつるといった異常が起こりやすくなります。さらに感覚が鈍くなることで、小さな傷に気づかず放置してしまい、やがて潰瘍や壊疽(えそ)といった重篤な足のトラブルにつながることもあります。これらを予防するには、日常的に足の状態をよく観察し、異常を感じた際には早めに医療機関で相談・診察を受けることが大切です。

大血管障害

糖尿病では、血糖値の高い状態が続くことにより、血管の内側(血管内皮)が傷つきやすくなります。このようなダメージが蓄積されることで動脈硬化が進行し、血管の壁が厚くなったり、血液の流れが悪くなったりする変化が生じます。特に動脈硬化が大きな血管(太い動脈)に及ぶと、「大血管障害」と呼ばれる重大な合併症につながります。

心筋梗塞

心筋梗塞とは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈が血栓などで閉塞し、心筋の一部が壊死してしまう疾患です。糖尿病の方は、慢性的な高血糖の影響により血管内皮が傷みやすくなり、動脈硬化が進みやすくなります。その結果として、心筋梗塞を発症するリスクが高くなることが知られています。さらに、糖尿病による神経障害のために、胸の痛みなどの典型的な症状を感じにくくなることがあり、「前ぶれなく突然発症する」「気づかないまま重症化する」といった傾向が見られます。心筋梗塞の予防には、血糖の良好なコントロールだけでなく、血圧や脂質異常の管理、禁煙など、動脈硬化に関わるリスク因子を総合的にケアすることが大切です。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が血栓などで詰まることで血流が途絶え、脳の一部が酸素や栄養を受け取れなくなり、組織が損傷・壊死してしまう疾患です。糖尿病のある方では、高血糖の状態が長期間続くことで血管の内皮が傷つきやすくなり、動脈硬化が進みやすくなることから、脳の血管も影響を受けやすくなります。実際に、糖尿病をもつ方はそうでない方と比べて脳梗塞を発症するリスクが高く、また一度脳梗塞を起こした場合の再発率も上昇する傾向が指摘されています。さらに、高血糖は血液を凝固しやすくする働きもあるため、血栓ができやすくなることも脳梗塞の原因のひとつとされています。そのため、脳梗塞を予防するには、血糖コントロールに加えて、血圧やコレステロールの管理、禁煙、体重管理などを含めた総合的な生活習慣の見直しが欠かせません。


糖尿病の検査

糖尿病があるかどうかを調べるには、血液検査によって血糖値やHbA1cの値を測定することが基本です。糖尿病は初期の段階では自覚症状が現れにくいため、症状がなくても定期的に検査を受けることが大切です。

血糖値の測定

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を示す数値で、糖尿病の診断や日常管理において基本となる重要な指標です。血糖値は測定するタイミングによって、「空腹時血糖」や「随時血糖」などに分類され、それぞれ異なる意味を持ちます。血糖値は食事や運動、ストレスなどの影響を受けて日々変動するため、状態を正確に把握するには複数の観点からの評価が必要です。なかでも、食後に血糖が過度に上昇する状態は動脈硬化の進行に関与し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが指摘されており、日常の血糖コントロールにおいては空腹時だけでなく食後の変化にも注意を払うことが大切です。

HbA1cの値の測定

HbA1cとは、血液中のブドウ糖が赤血球内のヘモグロビンと結びついた割合を示す指標で、過去1〜2ヵ月間のおおよその血糖コントロールの状態を反映します。血糖値が高い状態が続くと、その分だけブドウ糖がヘモグロビンと結合しやすくなるため、HbA1cの数値も上昇します。HbA1cは、日々の食事や運動による一時的な血糖変動には影響されにくく、中長期的な血糖コントロールの状態を把握するために用いられます。そのため、血糖値とあわせてHbA1cも確認することで、より正確な診断や治療方針の決定が可能になります。

当院では、受診日当日に迅速結果をお伝え可能です。

HbA1cが高い

尿検査

血糖コントロールができているか、合併症の有無を把握するために尿検査を行うことがあります。尿検査では、尿糖の有無を確認します。また、尿中アルブミンやタンパクを測定することで、糖尿病腎症の早期発見に活かします。さらにケトン体の有無を調べ、糖尿病ケトアシドーシスなど重篤な代謝異常がないか、早期に把握することにつながります。


糖尿病の治療

糖尿病の治療では、まず食事や運動といった生活習慣の改善が基本となります。食事療法では栄養バランスを整え、血糖値の急上昇を防ぐことが大切です。運動療法では、適度な運動によって体内の糖を効率よく使い、血糖コントロールを助けます。生活習慣の改善だけで血糖管理が難しい場合は、薬物療法が検討します。病状に応じて、内服薬での治療やインスリン注射を行うことがあります。

食事療法

糖尿病は「治す」というよりも、長くうまく管理していくことが重要な慢性疾患です。そのため、日々の食事を整える「食事療法」が治療の基本となります。食事療法では、栄養バランスを考えやすくするために「食品交換表」を活用します。これは、栄養価の近い食品を6つのグループに分類し、食事内容を調整しやすくする方法です。とくに大切なのは、食後の急激な血糖上昇を防ぐことです。1日3回、時間を決めてバランスの良い食事をとり、よく噛んでゆっくり食べることがポイントです。このような食生活を続けることで、体内のインスリンを有効に使いやすくなり、肥満の改善にもつながります。

分類 食品例 特徴・補足説明
糖質を多く含む食品 穀類、いも類、豆類(大豆を除く)、糖質の多い野菜(例:かぼちゃ・栗・ぎんなんなど) 主に身体を動かすエネルギー源となる食品。中にはたんぱく質もあわせて含まれているものがある。
果糖を多く含む食品 果物類(アボカドを除く) 果糖やブドウ糖が豊富。あわせてビタミンC、ミネラル、食物繊維の供給源にもなる。
たんぱく質を多く含む食品 大豆・大豆製品、卵、チーズ、魚介類、肉類

良質なたんぱく質を多く含み、ビタミンB群やミネラルも一緒に摂取できる。脂質を含むものもある。

カルシウム・たんぱく質を多く含む食品 牛乳・ヨーグルトなどの乳製品(チーズを除く) 良質なたんぱく質とカルシウムの供給源。糖質(乳糖)や脂肪分も含まれている。
脂質を多く含む食品 油類、ナッツ類、脂身の多い肉、ベーコン、ゴマ、アボカドなど 主に脂質が中心となる食品群で、高エネルギー。アボカドは脂質に加え、ビタミンや食物繊維も含む。
ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含む食品 野菜(糖質の少ないもの)、きのこ類、こんにゃく、海藻類 エネルギー量は少ないが、体の調子を整える栄養素を豊富に含んでいる。
調味料・嗜好品 味噌、砂糖、みりん、市販のカレールウなど 味付けに使う食品でも、糖質・脂質・たんぱく質などが含まれているため、使い方に注意が必要。

栄養指導

栄養指導では、まず患者様の生活パターンについて詳しくお聞きします。具体的には、食事や間食の種類・タイミング、起床・就寝時刻、勤務状況、休日の過ごし方、服薬内容などを確認し、日常生活の中で改善が必要な点を把握します。そのうえで、患者様が無理なく取り組める方法を一緒に考えていきます。より的確なアドバイスを行うためには、食事の内容や摂取時間、飲料の好みなどを正確にお伝えいただくことが大切です。1週間程度の食事内容の記録や、食事の写真を残していただくと、より実情に沿ったサポートが可能になります。なお、栄養指導は血糖値の管理がうまくいかないときだけでなく、生活の変化があったときにも役立ちます。たとえば、進学や就職、転勤、退職、または加齢による生活スタイルの変化などが該当します。こうしたタイミングで栄養管理を見直すことは、健康を保つうえで重要です。

当院には、管理栄養士が在籍しています。栄養指導、食事に関することも、お気軽にご相談ください。

運動療法

運動療法では、血糖値の安定や体重管理、基礎代謝の向上が期待でき、糖尿病治療の重要な柱となります。血糖値が安定していて合併症のない方は、無理のない範囲で継続することが大切です。インスリンや血糖降下薬を使用している方は、低血糖のリスクがあるため、医師と相談のうえで行いましょう。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動に加えて、筋力トレーニングを取り入れると効果的です。日常生活に無理なく組み込むことが継続のコツです。また、長時間座り続けることを避け、こまめに身体を動かす工夫も有効です。運動は、低血糖を起こしにくい食後1〜2時間後のタイミングが適しています。

薬物療法

薬物療法は、食事や運動による治療で血糖値が十分に改善しない場合に行われます。治療には、内服薬(経口血糖降下薬)や、インスリン、GLP-1受容体作動薬などの注射薬があり、血糖値や合併症の有無、生活習慣に応じて使い分けます。薬の種類や使い方は、担当医が病状に合わせて判断し、内服と注射を併用することもあります。薬物療法は、血糖値を安定させ、合併症を予防するために重要です。

経口薬(飲み薬)

スルホニル尿素剤(SU)

スルホニル尿素剤(SU)とは、膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促すことにより、血糖値を下げる薬です。インスリンを分泌する機能が残っている方に対して効果を発揮します。

速攻型インスリン分泌促進剤

速攻型インスリン分泌促進剤とは、食後の血糖上昇に素早く対応するために、膵臓からのインスリン分泌を短時間で促す薬です。インスリンを分泌する機能がある程度保たれている方に対して有効です。

αグルコシダーゼ阻害剤

αグルコシダーゼ阻害剤とは、小腸で糖が分解・吸収される速度を遅らせることで、食後に急激に上がる血糖値をゆるやかに抑える薬です。

ビグアナイド剤

ビグアナイド剤とは、肝臓で新たに糖(グルコース)が作られるのを抑制するとともに、体の細胞がインスリンに対して反応しやすくなるように働きかけることで、血糖値を下げる薬です。

チアゾリジン剤

チアゾリジン剤とは、筋肉や肝臓、脂肪組織に働きかけて、体がインスリンに反応しやすくなるよう改善することで、血糖値を下げる薬です。

アルドース還元酵素阻害剤

アルドース還元酵素阻害剤とは、ブドウ糖が神経細胞内でソルビトールという物質に変化するのを防ぐことで、ソルビトールの蓄積を抑える薬です。ソルビトールはブドウ糖が代謝される過程で生じるもので、神経障害の一因とされています。ただし、この薬には血糖値を下げる作用はありません。

注射薬

インスリン製剤

インスリン製剤とは、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を補う注射薬です。体内のインスリンが不足したり効きにくくなったときに、血糖コントロールを安定させるために使われます。1型糖尿病ではインスリンの分泌がほとんどないため、治療に不可欠です。2型糖尿病でも、分泌量の低下や作用の低下により使用されることがあります。高血糖が続くと膵臓に負担がかかり、さらにインスリンが出にくくなる悪循環を招くため、早期のインスリン治療がすすめられることもあります。インスリン治療が必須となるのは、インスリン分泌が著しく低下している場合や、高血糖による意識障害、重度の肝障害・腎障害、手術や感染症などで体への負担が大きいとき、また妊娠中の血糖コントロールが不安定な場合などが該当します。また、経口薬で血糖値が改善しない場合や、やせ型の方、ステロイドなど血糖値を上げる薬剤を使用している場合、ゆっくり進行する1型糖尿病(SPIDDM)の方などにもインスリン治療が検討されます。インスリン製剤の種類は、作用の早さや持続時間により以下のように分類されます。

  • 超速攻型: 注射後すぐ効き、約2時間で作用が切れます。食直前に使用します。
  • 速攻型(レギュラーインスリン): 約30分後に効き始め、5~8時間持続します。食前に使用します。
  • 中間型: 作用発現は1~3時間後、持続は18~24時間となります。
  • 混合型: 超速攻型や速攻型と中間型の組み合わせで、1回で2つの効果があります。
  • 持効型溶解インスリン: ゆっくり吸収され、約1日効果が持続します。空腹時の血糖を安定させます。
  • 配合溶解インスリン: 超速攻型と持効型の混合で、食後と空腹時の血糖をカバーします。

インスリンの種類や使用方法は、血糖値の状態や生活習慣に合わせて、医師が最適な方法を判断します。適切なインスリン治療は、血糖の安定化と合併症予防に役立ちます。

GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療に使われる薬で、体内ホルモンのGLP-1と同じような働きをします。GLP-1は、血糖が上がったときにインスリンの分泌を促し、血糖を上げるグルカゴンの分泌を抑えるホルモンです。また、胃の動きをゆるやかにして食後の血糖値の上昇を防ぎ、脳に作用して食欲を抑える効果もあります。GLP-1受容体作動薬は、これらの働きを補う薬で、内服薬や注射薬として用いられます。この薬は食後の高血糖時に効きやすく、空腹時には作用が弱いため、低血糖になりにくいのが特徴です。ただし、インスリンやスルホニル尿素剤(SU)と併用する際は低血糖を引き起こす可能性があるため注意が必要です。ほかの薬でHbA1cが十分に下がらないときに追加されることが多く、2型糖尿病の初期から進行例まで幅広く使われます。一方で、自身のインスリン分泌がほとんどない1型糖尿病には適しておらず、この場合はインスリン治療が必要です。内服タイプを希望する場合は、薬の作用や飲み方について医師の説明を受け、正しく使用することが大切です。安定した血糖管理と定期的な受診が治療の効果を高めます。